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アスベスト労災⑴

 

 2023.01.18 の労働新聞 ニュースによると、兵庫・尼崎労働基準監督署(青柳利雄署長)が、現在70歳代の男性が中皮腫を発症したのは、62年前に大手機械メーカーの構内下請で2カ月間アルバイトをした際の石綿ばく露作業が原因であるとして、労災認定していたことが分かった。同労基署が被災労働者側に開示した調査復命書によると、同僚の証言や被保険者記録など、男性が作業に従事していたことを裏付ける客観的な資料は確認できず、本人の証言のみを基に認定している。

 

 認定は令和4年5月19日付。認定に当たっては同労基署の進達を受けた厚生労働省が専門家会議を開いた。協議の結果、業務上疾病として取り扱うよう回答している。

 石綿被害はばく露後相当年数が経過後発症することが多いです。そのため、関係者の証言と言っても、当時の同僚と付き合いが続いていることはまれで、上司となれば亡くなっていることも多いです。また、証言という話になれば、面倒なことは避けたいということから、好意的な対応をしてもらえることも少ないです。

 そんな中、このように裏付けとなる証言もなく、本人の証言だけで認定されたということは非常に意義深いと思われます。